音楽はスポーツと違って絶対的な判断基準というものがないみたいなことをよく言われているみたいなのだけど、ビッグバンドジャズのトランペットだけは「極端に高い音が出せる」というたった一つのパラメーターだけで評価される、他に類を見ない世界だったりする。なにしろ、死ぬほど高い音を確実に出すことさえできれば音程など最早合ってなくてもよく、それ専門の「ハイノート・ヒッター」というトランペッターを(4番トランペットとして)わざわざバンドに置いていたほどだったりしたらしい。
一番儲かっていた頃のスタン・ケントンのトランペットセクションは、Conte Candoliをはじめとするハイノートヒッターを楽々務められるほどの豪傑ばかり集め、さらに世界最強ハイノートヒッターであるスタープレイヤーのメイナード・ファーガソン(Maynard Ferguson)まで抱えるという贅沢ぶり。5人もの超音波トランペットが可聴領域すれすれで暴れまくるその音楽は、それだけで当時からかなりわけのわからないものになっていた【外道を愛するおれカネゴン】。