もしかすると前にも書いたのかもしれないのだけど、「定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造」は、カネゴンの知る限り日本語のテクニカルライティングとして最も優れている一冊。後にも先にも、これより優れた文章を他に知らない【知らずに書けるおれカネゴン】。

  • 一つの文章が、常にたった一つのことしか表していない。どう捉えたらよいのか一瞬でも迷うような、あいまいな書き方がかけらも見当たらない。
  • それでいて、法律や契約書のような堅苦しさがまったくない。数式のような圧縮された表現を頭の中で解凍する必要もない。
  • それでいて、受け狙いの表現をこれっぽっちも使わず、淡々と記述している。
  • 読んでいて、一度たりとも心の中で「あ、つまりこれは言い換えるとこういうことなのね」と頭の中で言い直す必要が生じない。そういう作業は文章ですべて完璧に先回りされている。
  • それでいて、文章のどこにも冗長さがない。無駄玉を一発たりとも撃たない。
  • その結果、さっき読んだところを読み返す必要が生じず、大変速く読める。

と、その良さを表現しようとするとどうしても否定形ばかりを使用せざるを得ないのがカネゴン歯がゆいところ。一読すれば、その摩擦抵抗ゼロとも言うべき驚異的に滑らかな文章を体験できるのだけど。
どんなふうに訓練したら、これほどまでに優れた文章が書けるようになるのか、カネゴンには皆目見当がつかない【当分つかぬはおれカネゴン】。理想の国語教科書で大フィーチャーするのはこの本しか考えられない。