たまたま見つけたAV監督の村西とおるのブログが半端でなく面白い【業界志願のおれカネゴン】。誤字脱字が目立つのが、逆に臨場感があったりする。漫画「ディアスポリス」に登場する山本(不法入国の中国人)のごとく、あまりに口がうまいので「日本の表AV業界にはヤクザとつながっているところは一つもございません」など、到底信じられないような記述も、ついうかうかと信じてしまいそうになるほど【暗示と闘うおれカネゴン】。
カネゴンの中でだけ通用する経験則として、アダルト業界からはなぜか名文家が出現しやすい(高橋がなり中野監督tagomagoさんリリー・フランキーなど)のだけど、仕事として休みなく女性をくどきまくるために言葉が鍛えられ、つやつやに磨かれると同時に、エッセイの重要なコツである「主流派気分を捨てる」という立場を自動的に獲得してしまうからなのだろうか。
もちろん寺田寅彦のように、おぼっちゃん育ちをベースとした主流派気分を保ちながら馬鹿っぽい名エッセイをものにできる人もいれば、ゲーテのようにしまいには首相になったほどの名エッセイストもいたりするので、主流派気分を捨てたところで名エッセイストになれるかどうかは誰も保証してくれなかったりするのだけど。