チェーザレ・ロンブローゾといえばもう長いこと疑似科学の代表のように扱われているのだけど、カネゴンは、ロンブローゾも間違いなく科学の徒であり、ロンブローゾの研究は紛れもなく科学に貢献したと信じております。

ロンブローゾは身体的特徴として「大きな眼窩」「高い頬骨」など18項目を、また精神的特徴として「痛覚の鈍麻」「(犯罪人特有の心理の表象としての)刺青」「強い自己顕示欲」などを列挙した。彼によれば、これらの特徴は人類よりもむしろ類人猿において多くみられるものであり、人類学的にみれば、原始人の遺伝的特徴が隔世遺伝(atavism)によって再現した、いわゆる先祖返りと説明することができる。また、精神医学的見地からは悖徳狂と、病理学的見地からは癲癇症と診断される。そしてこれらの特徴をもって生まれた者は、文明社会に適応することができず犯罪に手を染めやすい、即ち将来犯罪者となることを先天的に宿命付けられた存在であると結論付けた。これが「生来的(生来性)犯罪人説」である。こうした彼の立論の背景には、当時流行していた ダーウィニズムへの傾倒があった。発表当初は、犯罪者の約70%が生来的犯罪人であるとしたが、激しい批判を考慮してか、のちにその数値を約35 - 40%に下方修正した。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BE

ロンブローゾのアプローチは、多少荒っぽいとはいえ十分科学的であり、しかもその結論が否定されたことで、ちょうどマイケルソン・モーリーの実験のように「こっち方面は違うらしい」ということが判明したわけなので、結果的に否定的結論を導くきっかけになったということで間違いなく科学に貢献しております。彼があの時点でこの説をぶち上げていなかったら、この分野の進歩は確実に遅れていたはず。