ビョークは、正直なところPhewの代用品として聴いている。
カネゴン家に転がっていたビョークの「Post」というアルバムを聴いたとき、コニー・プランクサウンド構築が秀逸なことで知られるPhewの「Phew」というアルバムとあまりにその音世界が同じで驚かされた。違うのはPhewの声が万年鼻づまりなことと、ビョークサウンドには圧倒的に金と時間がかかっていることだけ。
もちろんパクりでも何でもなく、たまたまどちらもこの世にない黄泉の国の響きを求めているだけなのだと思う。実際、フレーズレベルでは一つも似ていない。
カネゴンP-MODELのときと同様、Phewも禁止リストに含まれていて、25年以上も一瞬たりともその音を思い出さないようにしていたのだけど、ビョークを知って、そんな禁欲に何の意味もないことにようやく気が付いた【暗示にまみれたおれカネゴン】。決して売れ行きのよくなかったであろうPhewの黄泉の国サウンドが、時を超えてビョークによってこれほどまでに洗練され、売れまくったことに内心とまどいつつ小躍りしてしまった。