レイトショーでアバターを見てきた【終電すれすれおれカネゴン】。
何だか全体的に10年ぐらい前の宮崎アニメに対する敵意に満ち満ちていて、監督の「ナウシカが何ぼのもんじゃぁ」「絶対に屈服させてやる」という叫び声が聞こえてきそう【仮想敵国おれカネゴン】。
ありとあらゆる3D技術をかき集めまくって観客を足下にひれ伏せさせようという物量作戦がいかにも米国流で、期せずして本編の悪役である出張地球軍と同じようなことをしているのはおそらく狙ってやったのではないと思われる。
ネイティブアメリカンなどのアジア人をミックスしたような出で立ちの現地人たちなのだけど、その現地人たちの演技や表情は一人残らず頭から尻までアメリカンで、宮崎アニメの登場人物が何人であっても結局日本人でしかないのと同じように互いにいい勝負をしていた。民族が征服されると後年そのエキゾチックな要素が娯楽のために使い回され消費されて、征服した側の後ろめたさを埋め合わせることに使われることを痛感。
後半の騎馬戦のシーンでついつい駅馬車を連想してしまい、今時の日本の漫画家が漫画しか読まずに漫画を描いているように、映画監督も映画しか見ないで映画を作っていることを期せずして痛感。
ただそれらの3D技術は、一見ド派手なようでいて、カネゴンたちのような可哀想な観客の認識を根底から掘り起こして覆したり揺るがせたりして怯えさせることが決してないよう、極めて慎重に製作されていた。それが証拠に、カネゴンは近年かなりの高所恐怖症なのだけど、映画で空中に浮かぶ山から墜落したり翼竜での空中戦を見ていて一度も怖いと思わなかったし、流血しても痛そうに見えなかった。残念なことに技術は積み重ねが可能なので、今頂点を極めていても、あと5年もすれば後に続くであろうもっと凄い映画たちに押し流されてしまいそう【カッパ流れのおれカネゴン】。