同書では、業界以外ではなぜかあまり知られていない孤高の物理学者ヘビサイドについても紹介していた。

  • 電離層の存在を予想した。
  • 電信方程式として知られている伝送線路に関する理論を構築した。
  • ポインティングベクトルを独立に発見した。
  • マクスウェルの方程式を見通しよくかつ使いやすい形式に変形した。
  • 電気回路中の電流をモデル化するために、ヘヴィサイドの階段関数を発明した。
  • ベクトル解析とベクトル演算を発明した。
  • 線型微分方程式演算子法を発明した。後に、Thomas John I'Anson Bromwichはヘヴィサイドの演算子法の厳密な数学的証明を与えた。ヘヴィサイドの演算子法は今日我々が知るところのラプラス変換とほとんど等価なものである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89
  • 正規の教育を受けたのは16才まで。その後は語学も含めてすべて独学。
  • 割といい年になってからマクスウェルの方程式に出会って狂い咲き。通信技師の仕事をやめて田舎に引っ込み、貧困の中で50年も研究を続ける。
  • 伝送理論を発表したために、当時「海底ケーブルでの高品質通信は不可能」と断じたケルビン卿から公然といじめられ、無視された。そのためにケルビン卿の影響が強かったイギリスで通信工学が落ち目になり、ヘビサイドの理論を採用したアメリカが通信でトップに立った。

\frac{d^2 v}{dx^2}=-RG+(LG-CR)\frac{dv}{dt}+LC\frac{d^2 v}{dt^2}
ビサイドは、このLG-CRをゼロにすることで、海底ケーブルでの波形の劣化を抑えられることを指摘した。vは複素数、Lはインダクタンス、Gはコンダクタンス、Cは静電容量、Rは抵抗。LG=CRになると虚数部が消え、実数部だけが残るとのこと。

  • 今流行りのチェレンコフ光も予言していた。
  • ビサイドは晩年に統一理論を研究していたが、死後論文が盗難に遭い、紛失してしまった。

これほどの功績にもかかわらず、まるでアテルイ土蜘蛛のような扱われ方をされたのが不憫。ロード・ケルビンの仕打ちが未だに尾を曳いているのかもしれない。カネゴン脳内のツァイガルニク効果が青い光を発してしまいそう【再度臨界おれカネゴン】。