同書著者である最相葉月の「絶対音感」もそうだったのだけど、これらノンフィクションは「本当のことを知りたい」という熱々の動機に突き動かされていて、自分の主観や下衆な意図を決して交えていない。緻密な取材に基づいたこれら著作は下手な科学論文よりよほど科学の精神に満ち満ちていて、それでいて特に星新一の晩年の姿は色川武大怪しい来客簿 (文春文庫)」に収録してもおかしくない水準を達成している【怪しいだけのおれカネゴン】。