グレイス・ジョーンズという強面のモデル兼パフォーマーの人がいて、常にエキセントリックでとんがったオシャレ系音楽ばかり長年演じているのだけど、やろうとしていることだけ見れば現代音楽の人たちと同じように最先端を目指しているはずなのに、両者がこれまで交流している気配がこれっぽっちもないのはなぜなのだろう【ガオガオブーのおれカネゴン】。実は互いに不倶戴天の敵同士だったりするのだろうか。お金がある者とない者の間には深くて暗い川が流れているのだろうか。
グレイス・ジョーンズの音楽があまりにインパクトと一発ネタ重視で底が浅く、二回聴き返す気になれないというのがあるにしても、それは現代音楽の大半も似たようなもののはずなのに。
なお、グレイス・ジョーンズの音楽の制作にあたっては、オーケストラヒットのようなあっという間に陳腐化してしまう手法をうっかり取り入れて後から笑いものになってしまわないよう、細心の注意が払われている。さらに、バックミュージシャンのエゴや気の利いた名人芸、ほろりとさせてしまうような美しさなどがちらりとも姿を見せることのないよう、徹底的にそういう要素を叩き潰したうえで奴隷として最適化してある。たぶんそういうところに一番お金がかかっている【無銭と実験おれカネゴン】。