ある種の口語文体のお手本として名高い橋本治の「青空人生相談所」を流し読み。何となくおすぎとピーコに叱られているような気になる。容赦なく斬って捨てる回答に読者がおののいたのか、連載3回目ぐらいから早くも読者の悩みの相談の仕方がどことなく腰が引けていた【引けっぱなしのおれカネゴン】。驚いたのは、筋道だった論旨の中に、一見矛盾に満ちたアドバイスが(おそらくわざと)挿入されているときがあることと、にもかかわらず説得力があることで、ちょっとしたメタ論説アクロバットを見たような思い。どうやら筋道だっていることと説得力があることは異なるものらしい。一方、この毒性の強い文体と手法はお手本としてもう大分普及してしまった分、多少古く感じる部分もあったりする。もしカネゴンが繭(高校生)の時に読んでいたら相当違ったかも【たられば頼みのおれカネゴン】。この中に掲載されている悩みのいくつかは、もしかすると既に携帯電話によって解消されているかもしれない。