同書をカネゴン的にかいつまむと以下のような感じ【横領するとはおれカネゴン】。

  • 現代の目から見ると、ユークリッド原論の証明にはギャップや欠陥がいっぱい混じっている。
  • 超有名な出だしの「点とは部分のないものである」すら、現代幾何学から見ると重大な問題がある。
    • 現代幾何学では、「点」とか「直線」の定義はすっぱりあきらめ、これらを何と「無定義用語」として扱っている。その理由は、幾何学体系の中の要素だけを使って基本的な用語を定義しようとすると、間違いなく同義反復(トートロジー)になってしまうため。
  • 現代の幾何学では、ベースとなる「幾何学体系」と、それを具現化した「モデル」という二本立てで体系を作る。憲法と法律というか、クラスとインスタンスというか、脚本と実際の舞台の関係というか。
    • 二本立てとした理由は、ユークリッド幾何学は視覚に頼りすぎている上、ここで言う幾何学体系とモデルがごっちゃになっていて何かとつまづきの元になるかららしい。
    • 点とか直線は、ベースの幾何学体系では無定義だけど、モデルの方では定義できるし、していい。
    • モデルは無数にあるし、好きなように作ればいい。モデルが変われば点や直線の定義も変わる。
    • ユークリッド幾何学は、この方法論ではモデルの一つに過ぎない(それでもモデルにするには随分改造が必要らしい)。