その小島先生が紹介していた「ゼロから無限へ―数論の世界を訪ねて (ブルーバックス)」を読み終わっていたことを今思い出した【認知と障害おれカネゴン】。
カネゴンが幼虫(小学生)ぐらいのときに初版だったにもかかわらず(現在は訳書で30数版を重ねている)、一読してその完成度の高さにかなり驚く。読みやすさに不可欠なよい意味での冗長さと、一点の曇りもない論理展開が見事に同居している。いっけん寄り道しているように見える記述もすぐに本流にがっちりと取り込まれ、どの一文を取っても略そうとしても略しきれないという涅槃の境地にまで到達している【涅槃を目指すおれカネゴン】。
さらに、版を重ねるたびに整数論の新しい成果が訳者によって現在も着々と盛り込まれているのも実にありがたい。邪魔にしかならないアメリカンジョークの類がまったくないのも素晴らしく、正直アメリカ人にこれほど文章がうまい人がいるとは思いもよらなかった【黒船襲来おれカネゴン】。
あとがきによると、原書の冗長と思われる部分がある程度訳者によって刈り込まれているとのことで、原著を超える名著はこのようにして生まれることを思い知らされる。この本との出会いが後30年早ければ【Wish I were おれカネゴン】。