京都のモテモテ老人森毅の文章は面白いが専門書籍は意外に難解。京都伝統のレフトウィング思想をあちこちに織り交ぜているせいだけではないだろうけど、あまりくどくど説明しないからと思われる。前述の大村さんと好対照。大村さんはまるで有理数(式の比喩)の隙間を埋める無理数(言葉の比喩)のように、理解に不連続が発生しないように恐ろしく丁寧に書いていて、カネゴンにはむしろちょうどいい。数学師匠のてるやすさんが「まったくもって、数学の本は書くのは簡単で読むのは大変です」とおっしゃっていたが、至言。

その森さんが、高木貞治の「解析概論」は今となっては著者の人柄の良さは認めるが、こんな難しい書き方をした本を初学者に薦めるべきではない、記述が緩かったり新しがりの部分も多いし、相当批判力がついてから読む方がいい、と言っていて少し安心する【下をうろうろおれカネゴン】。